• 全国知識製造業会議

異業種交流で新たな営業観を育む <全国知識製造業会議>

2025.09.29

サンコーテクノグループ
株式会社WDS

代表取締役社長 山田 浩之

「こんなに変わった展示会があるのか」。全国知識製造業会議2025に初参加した株式会社WDS の山田氏は、率直にそう感じたという。その最大の理由として挙げるのが出展企業のコラボレーションへの意欲だ。積極的な雰囲気が会場全体にあることで「社員の姿勢に大きな変化があった」と振り返る。

「昨年この場で生まれたコラボ」への驚き

 AI を組み込んだ顔認証などの生体認証端末の開発を手がける株式会社WDS は、2022年に建設資材大手のサンコーテクノ株式会社の傘下に入った。全国知識製造業会議も親会社からの紹介がきっかけで「既につながりがある通信や土木とは異なる業種との接点」を目的に参加を決めた。期待感を持ちながらも「数ある展示会の一つ」と捉えていた山田氏だったが、会場に足を踏み入れた瞬間にそのイメージが覆されたと語る。「他社さんのブースを訪問すると『これは昨年この場で出会った会社と開発した製品なんです』という話が普通に出てくる。その後に自社ブースに戻ると、主催のリバネスの方が『こんな技術を持つ会社さんに興味はありますか』と異業種の企業を次々に紹介してくれる。出展企業がこれほど能動的につながる展示会は初でした」。

突っ込んだ議論ができる姿勢が生まれた

 当日、WDS からは親会社を含めて5人が参加。自社ブース担当には「出展の経験が豊富」「自社製品・技術に関する総合的な知識がある」という2人を選抜した。つまりは展示会に慣れた社員だったわけだが、全国知識製造業会議ならではの空気感によって様々な変化が生まれたという。
「コラボレーション意欲が高い方の質問は内容が濃く、担当者のモチベーションも上がります。また、従来こうした場では『売り込みだと受け取られるかもしれない』という不安から表面的な話をしがちでしたが、今回は突っ込んだ議論ができていました。この内容は伝えておきたい、どういう反応があるかを確かめたい、といった積極的な姿勢です。心理的なハードルがない影響は大きかったですね」。

受け身ではない場で何ができるのか

 今回の参加を経て、WDS には新たな営業観とも呼べる視点が生まれつつある。一般的な展示会は「ブースに製品を並べて訪問者を待つ」という環境であり、いわば受身のスタンスが強い。「では、受身ではない場で自分たちは何ができるのか。そう考えるようになりました」と山田氏は語る。
様々な業種が集う場で自社の何をアピールすべきか。製品の優位性を説明するだけではなく、他の要素と組み合わせた場合の拡張性についても議論ができるのではないか。さらに、自社だけでは気づかない視点を、幅広いつながりから積極的に獲得すべきではないか。「次に全国知識製造業会議に参加する際には、事前にしっかり戦略を立てて臨みたい。そう思っています」。

(文・藏本 斉幸)